『イルミナ 号外』(2021年5月16日 文学フリマ東京発行)
内容は無料で公開しています。BOOTHにpdf版(無料)と冊子版(100円)もあります。
【目次】
・広島閉館に寄せて
・「セックスワークにも給付金を」訴訟
「広島閉館に寄せて」では広島第一劇場の思い出を募集しています。
まえがき
この冊子を手に取ってくださった皆さんは、今どこで、どのような気持ちで生活しているでしょうか?
ストリップ劇場に行ったことがありますか。行ったことがあるけど、今は行けていないでしょうか。あるいは、今も劇場に行っているのでしょうか。
昨年からはじまった行動制限により、観劇に行くことは今までよりずっと緊張感のある行為になってしまいました。
楽しげな香盤や遠征を見送り、感染者数に一喜一憂し、劇場や働く人々の状況を心配し……。
1年以上が経った今でも状況は改善されないまま。その間に多くの出来事がありました。
ストリップ業界では、群馬の伊香保銀映が人知れず閉館。また、広島の広島第一劇場の2021年5月20日の閉館が決まりました。
そして、2021年4月14日、東京のシアター上野が摘発を受けました。
うれしいニュースもあります。当初は2021年5月の閉館を予定していた福岡のA級小倉劇場が、社長の知人が経営を引き継ぎ、営業を続けることになりました。
ストリップ、そして社会の状況は厳しく、目まぐるしく移り変わっています。
今回頒布する号外は、広島第一劇場の思い出を中心に、制限の中で行動する人々の思いと、今ストリップが向き合っている事件を記録しています。寂しい話題も多いですが、読んだ方にとって何がしかの糧になれたら幸いです。
11月の文学フリマの頃には、行動制限のなくなった世の中で、改めて劇場にまつわる、幸福で時にくだらないたくさんの出来事をつづることができればと思います。
(あいだ)
あとがき
第三十二回文学フリマ東京の開催に合わせてこの号外を制作しました。緊急事態宣言下でイベントが制限され、開催の可否が定まらないうちに届いた事務局からのメールには、「文学フリマは、権力や権威によらず自分の作品を発表できる場として、憲法上重要な基本的人権のひとつである表現の自由を支える活動であると考えています」とありました。
広島第一劇場の閉館が最初に発表されたのは、私が本格的に(?)ストリップ劇場に通いはじめてまもなくのことでした。閉館する前にと駆け込んだ2017年1月、本文に書いたように予定外に行くことになった2018年7月。この号外を作っているいま、そのたった二回が私の広島経験です。2020年からはずっと「県をまたいだ移動の自粛」をしているうちに、とうとう最後の週となってしまいました。
ストリップ劇場と同人誌即売会はどこか似ています。どちらも表現に対するエネルギーに満ちている。そのような場が、多くの人に愛されながら続きますように。
(うさぎ)