広島閉館に寄せて*公募編①

『イルミナ』号外発行後に寄せていただいた広島第一劇場の思い出です。
ご協力くださったみなさま、ありがとうございます。


劇場への道のり

 遠征前、広島第一劇場は映画「彼女は夢で踊る」の舞台という位置付けに過ぎなかった。
 5月14日11時50分、広島駅。開演前の入場は諦めていた…つもりだった。気がついたらタクシー乗り場へ駆け出していた。車内では刻々と進む時計の針から目を離せなかった。12時を少し回った頃、劇場に到着。既に照明が落とされた場内で急いで席を探し、腰を下ろす。数秒後、白いドレスを身に纏い、赤い盆上で待機していた踊り子さんに無数の光が降り注いだ。一気に胸が熱くなった。鏡からステージに目を移した時の踊り子さんの圧倒的な存在感、そして場内を包み込む温かい空気。わずか2日間の間に、私の中で「映画の舞台」だったものが「かけがえのない空間」に変わっていた。
 多くの愛に見守られ広島第一劇場はその役割を終えた。でも、ストリップは止まらない。この尊い世界が1日でも長く続くことを願いつつ、期待と興奮を胸に今日も劇場へと足を運ぶ。

柴犬トトロ(スト客2年生。ポーズ練習中)


第一劇場。やすしほさん。

 昨年の4月。仕事で東京から広島へ異動して参りました。映画「彼女は夢で踊る」が4月8日公開という事で楽しみにしていた矢先…コロナ禍でまさかの上映延期…
 6月。第一劇場がコロナ休業から再開したと知りいざ広島駅へ。路面電車も初。5000円で1日居られるのも知らなかったしビール持ち込みOK。「これはいい❗」寂しい単身赴任。この歳でまさかの独り暮らし。そして次の休みにまた第一劇場へ。2回目に出会ってしまったのが安田志穂さん♥️でした。スタイルいい、カワイイ😍ダンス上手いそして推しのアイドルソングで登場❗後半に少し汗ばんでくる…♥️これにヤられてしまいました。
 ブログをフォローし香盤情報GET。この1年、やすしほさんに会いに第一とA級小倉通い。そして広島第一ラストデー。夕方から仕事だったのですが9時から並びやすしほさんに会いにイッてきました(笑)
 ストリップは人を元気にします。推しは尊い…😭

カワノヤスノリ(広島に単身赴任中)


優しいおじさん

2017年1月31日
 広島第一劇場が閉館する予定だった日に僕は劇場にいました。
 劇場内は満員電車のような人混みで、席も全て埋まっていたので、僕はラストまで立ち見覚悟で開演を待っていました。
 その時、近くにいた初対面のおじさんが僕に話しかけてくれました。開演までの数十分間、気さくにお話をしてくださるおじさんのおかげで楽しく過ごすことができました。
 ショーが始まり5時間程経ち、立ち見で足が限界に近かった時
「お兄ちゃん、俺もう帰るからここに座りな」
 と僕の肩に優しく手を置いて自分が座っていた席を譲ってくれました。僕が辛そうにしているのを見ていて気遣ってくださったのかもしれません。
 会ったばかりの自分に親切にしてくださったおじさんに僕はとても感動しました。今でもずっと感謝しています。
 おじさん本当にありがとうございました。
 優しいおじさんとの出会いを経験させてくれた広島第一劇場ありがとう。

ルツボ(広島県人)


さよならの代わりに

 2021年4月末の楽日に初めての遠征で広島第一劇場に来ました。
 打ちっぱなしのコンクリの床。レトロなミラーボール。座ると軋む赤いシート。初めて来たのに、なぜかとてもあたたかくて、一瞬で引き込まれました。
 めくるめくステージは過ぎ行き、最終演目へ。1景の香山蘭さんは私がポラ館に通うようになったきっかけでもある、思い出深い踊り子さんです。最終演目「初恋」の最後に香山さんが後ろ髪を引かれるような仕草でフッと振り向き、感極まった様子で今まで何度も乗ってきたであろう盆へ感謝の口づけをしていました。ラストステージこそ、しかと見なければと思っていましたが、最後に散った桜の花びらがどうしても涙で滲んでしまいました。
 広島第一劇場は閉館を迎えましたが、これからも続いていくストリップ文化とそれを支える踊り子さんを応援していこうと思う深夜2時の帰り道でした。素敵な想い出をありがとうございました。

vandelas(ストファン4年目の会社員)


海風なき劇場

 真昼から営業する劇場はその固陋な外観を太陽に剥き出していた。壁を這う蔦は日光を浴びてすくすくと育っていた。赤錆びた外付け階段が建物の両側に伸びている。二階に楽屋の窓が見えた。そこから時折突拍子もない嬌声が響いた。
 劇場の内部は悲鳴を挙げていた。天井から滴る水漏れは日に日に侵蝕を広げていた。染みだらけの天井は照明の影との文目も朧ろであった。

 ここでは踊り子だけが見られ、美しい権利があった。人知れぬ孤独な遍歴がそこには横たわっていた。こんな薄暗い、唯漠然と大きい霊廟に踊り子はたった一人に見えた。我々は美をその思うままに放っておく「宇宙」を失って久しい。
 社会がまた一つこうした稀有な劇場を忘れた日、踊り子は泣きながら、笑いながら踊っていた。その涙も笑顔も私は解することが出来なかった。そこに無念や悲痛を思い描くにはその顔は余りに眩かった。

段一知(最近、また家が壊れました)


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