4月15日「セックスワークにも給付金を」
訴訟の第1回口頭弁論が終了
『イルミナ』創刊号でお伝えした「セックスワークにも給付金を」訴訟。その第1回口頭弁論が4月15日に東京地裁ではじまった。
2020年、国は新型コロナウィルス対策として、持続化給付金および家賃支援給付金の支給を決定。しかし、「国民の理解が得られない」とし、この給付金を性風俗事業者に支給しなかった。国のこの判断に対し「憲法が保障する『法の下の平等』に反し違憲である」と申し立て、大阪のデリバリーヘルス事業者が国を訴えた。これが「セックスワークにも給付金を」訴訟(通称)だ。
国側の主張――性風俗業は「本質的に不健全」
答弁書で国側は「性風俗関連特殊営業は、性を売り物にする本質的に不健全な営業とされ、そのことを前提に風営法による規制の対象とされている」と主張。
性風俗業を「本質的に不健全」と見なし、差別を容認する国の姿勢が真っ向から現れた。この答弁はニュースでも話題になり、その姿勢に批判的な声が集まっている。
また、口頭弁論では原告代表であり、元キャストでもある会社経営者が自ら意見陳述を行い、「国は、社会に対して『差別をしてはいけない』『差別を助長してはいけない』『職業に貴賎はない』と伝える存在であるべきです。しかし国は今、真逆のことをしています。国にはそのことに気付いて欲しいですし、改めていただきたいです。そして、裁判所には、国による職業差別を許さないでいただきたいです」と主張した。
弁護団記者会見
編集部のあいだも、第1回口頭弁論の傍聴および弁護団による記者会見に参加した。
この記者会見で、印象的な質問があった。それは「今回の裁判では『性風俗業が不健全か否か』を議論するのか。それとも『不健全な仕事でも差別はいけない』という議論をするのか」という問いだ。弁護団はこれに対し「不健全か否かを問うと議論が広がりすぎてしまう。どういった議論にするかはこれから考えていくべきところ」と答えている。
現状で性に関わる事柄はしばしば「隠し事」として扱われている。そこから生まれる「不健全」という社会通念を突き崩すのは容易ではないだろう。
しかし、裁判の過程で「性に関わる事柄を『不健全』と見なすことがおかしい」と立証することができたなら、それは「性とは何か」という議論を大きく前進させることになるだろう。
仮に、国がそこまで踏み込んだ議論をしてこなかったとしても、この訴訟についてそれぞれが考え、さまざまな場所で意見を交わすことそのものには大きな意味がある。
私たちにできること
また、弁護団によって行われたYouTubeでの期日報告会では同訴訟に対する協力の方法として、「傍聴に来ること」「話題を広げていくこと」が挙げられていた。
公共訴訟支援プラットフォームCALL4内の「セックスワークにも給付金を」訴訟のページでは、裁判の進捗や今後の期日予定を確認することができる。4月11日現在、傍聴可能な期日は未定。
原告代表のTwitterアカウント(@FU_KEN2020)では今回の訴訟に関するさまざまな記事や書籍、論文がシェアされている。
同訴訟に対して考えを深めたい人、具体的に関わっていきたい人は、同サイトやアカウントをチェックしてはいかがだろうか。
弊誌では引き続き裁判の行方を見守っていく予定だ。
(あいだ)
公共訴訟支援プラットフォームCALL4「セックスワークにも給付金を」訴訟
http://www.call4.jp